別の世界の僕が本当にいるかどうかなんて分からない。
今ここにいるのは僕で、夢の中の“吹雪士郎”じゃない。だから僕にしてみれば、あの夢はくだらない白昼夢のようなもの。
僕の憧れ。望み。生きたかった未来。そんなどうしようもないもので溢れてる幻想。
どうしても割り切れないんだ。
一度なら笑って、でもしょうがないよねって、それだけで済んだ。
だけど何度も、夢の中の“僕”を見た。完璧で、家族がいる“僕”を。
辛いんだ。
それを傍観者の立場で見つめている僕を、空の上から眺めているのが。
怖いんだ。
自分の心の中に隠してた希望を暴かれて、気が狂いそうになる自分が。
もし、もしもだよ。
本当にパラレルワールドっていうのが存在しているとして、もし、○○さんという人間も同じ世界で暮らしていたとしたら。
もし僕と顔見知りで、それどころか恋人で…、将来を誓い合っているような仲だとしたら。あなたに愛されているのを、当たり前のように受け取っていたとしたら。
羨ましい。妬ましい。
憎い。許せない。
「そこにいたのは、僕だったのかもしれないのに」。想像するだけで、汚い感情が溢れ出して止まらないんだ。
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