(ぎゅっ)
…本当は、別に気にしてなかったんだ。どうせ子供の言う事だから、好きに言わせておけばいいって思ってた。
でも、あの子が○○さんに抱き付いた時…悔しくて悔しくてたまらなかった。まるで○○さんを取られちゃったような気がして怖かった。
普通ならそこまで気にするような事でもなかったのかもしれないけど、あなたはすごく優しい目で、あの子をジッと見てたから。
憎かった。一瞬であなたの気を引いたあの子が。
あなたのいないところで、僕の大切な人を取らないでよって、突き飛ばしてやりたかった。
近寄るなって叫びたかった。お前なんか嫌いだって、一発殴ってやりたかった。
頭ではちゃんと分かってたんだ。
あの子はただ、僕たちの目の前で迷子になっただけなのに。
いつの間に僕は、こんなに汚くなっちゃったんだろう。