名前:吹雪士郎

今まで351回マフラーを巻き続けた

もふもふ!

変わった大人だと、初めのうちは思っていた。
常識では考えられないような痴態を晒す○○さんを見ていては、自分の判断が間違っていたのかもしれないと思い悩む日々を送っていた。
そんなあなたに、不安定な吹雪を任せても良かったのだろうかと…二人のことを考えない夜はなかった。

あなたは確かに変わっているとは思う。
けれど、本当はそれだけではなかった。
あなたは確かに、良い意味での大人だったんだ。

吹雪を愛でるあまりに体のあちこちを撫で回しているかと思えば、…真正面から吹雪にぶつかって、アイツの気持ちを受け止めている○○さんもいた。


…あいつには、アツヤという弟がいる。
○○さんも吹雪から、名前ぐらいは聞いてるんじゃないか?

誰しもが持っている、他人には触れられたくない部分…。吹雪の場合は、事故で死んでしまった自分の家族のことだった。
吹雪が死んだ弟のことで悩んでいるのを知っていても、俺たちは自分から口を出せなかった。無闇に過去のことを引き摺りだしてしまえば、吹雪の状態が余計に拗れると思ったからだ。

結局吹雪は、自分の中に眠っているアツヤの人格に苦しんで…ボールを蹴ることをやめてしまった。


きっと俺たちが励ましても、吹雪の心には響かない。


時間が必要だと思った。
だから無理に刺激せずに、吹雪自身のペースで乗り越えてもらおうと思っていたんだ。