おれが中学生の時の話なんだけど…

その日は友達に付き合ってもらって夕方くらいまでバレーしててさ。
でも、友達がテスト勉強しなきゃいけないって言うからその日は早めに切り上げておれも家に帰ったんだ。

で、いつも通り家に帰って「ただいまー」って言ったらいつもいるはずの母さんと夏…あ、夏っておれの妹な!
そうそう。その二人がいなくて、「ああ、二人で買い物にでも行ってんのかな」って思ったんだよ。

それで、玄関に座って靴脱ぎながらこれから何しようかなって考えてたら、


トントン、


っておれの後ろにある二階への階段を上る音がしたんだ。

…おれは誰もいないと思ってたからびっくりして振り返ったんだけど、階段を上がっていく人影が見えたんだよ。
その人影が小さかったからやっぱり家に妹がいたのかと思って、「夏?」って声かけたんだけど、返事はかえってこなかった。

で、変だなーと思ってそのまま下から見上げたら、階段上ったところに女の子?みたいなのがいて、おれのこと手招きしてて…

おれはまだ夏だと思ってたから、「どうしたんだよ」って言いながら階段を上ろうとしたら、



「ただいまー」って母さんと妹が帰ってきた。

日向怪談