ある日、オレは街に買い物に出かけた。


普段通り道を歩いていると、黒髪の綺麗な女性が眼に映った。
お、綺麗な人だな、そう思った瞬間オレは反対側の道から来た馬車に撥ねられた。


対人格闘術を習っていたオレはとっさの瞬間受身をとる事ができたため、両足を骨折する重傷ですんだ。





それから半年たったある日、友人のJが同じく馬車に撥ねられた。
直ぐに彼の元に駆けつけたが、Jの意識は戻らないままだった。
その場で救助に当たった人の話によるとJは「とても綺麗な黒髪を見つけてついよそ見しちまった・・・」
と呟いていたという、オレは驚いた。


アレは死神なんじゃないか?

オレがそう思っている頃、またあそこで事故があったらしい。
話を聞いてみるとひき逃げらしく、この辺りは見通しがいいにも拘らずそういう事故が多いらしい。

オレはあの黒髪の女が死神だと確信した。



寺生まれのTさん