(しばらく歩くと大きな建物が見えた)
(出来たばかりなのか、真新しい)



(連れてきてくれた男は、門の前までくるとキョロキョロ見回し、近くにいたあの鬼にでも事情を説明したらいい、と言って帰ってしまった)


(心細さを感じながらとりあえず言われた通りにおだんご頭の鬼の近くに行くと目が合った)

(……すごく目付きが怖い)



(なんとか声をかけようと口を開くと)

……見たことないですね
誰かのお子さんでしょうか?

ここは危ないですから…


(軽く肩に手を置かれ、咄嗟に後退ると怪訝な顔をされた)


…私が何か気に障ることしましたか?


(………、)

(黙っていても進まない、でもあまり言いたくないと感じながらもぽつりぽつりとここまで来た経緯を話すと驚いたような顔をされた)


……もしかして、貴女の住んでいた村は…


(住んでいた村の名前が鬼の口から出てきた事に驚き顔をあげると、どこか苛ついたような表情で歯噛みしていた)


まだ懲りてないのか、アイツら


(?)



…とりあえず、着いてきてください
上司に説明しなければ



(スッと歩き出した鬼に慌てて着いていく)





遠い記憶7