(ここが何処か聞くだけ…そう思いながらもなかなか口が開けずにいると、相手がこっちに気付き近づいてきた)
見たことない子だね、君
女の子がひとりでどうしたの?
(にこにこと人懐っこい風貌だが、なんか胡散臭い…)
(…すみません、ここは、なんという地名ですか?)
地名?
えっと…それはどういう
……?君、ちょっと
(ズイッと近づいてきた男が、切れ長な目を開き見つめてきた)
…………、
君、元は人間の子だね
人間に随分酷い事されたんだ…
…本来ならこっち側のはずなんだけど
ああ、鬼火が入っちゃったのか
(…?)
(言っている意味がわからず首を傾げていると男は勝手に納得したように頷き)
えっと、いろいろ解んない事だらけだろうけどこれだけははっきり言っておくね
君は死んだんだよ
それで、本来なら君のような死因の子は天国って場所に行く…はずなんだけど
偶然なのかはわからないけど君の身体に鬼火が入っちゃったみたいだね
(おに、び?)
そう…だから亡者になるはずが鬼…鬼神になっちゃったってわけ
その証拠に、ほら
(男が懐から何か薄くて丸いものを出してこちらに向けてきた)
(それを覗きこむと自分の姿が…頭に二本、尖ったものがはえている)
鬼にはツノがつきものだからね
(……おに、)
(死んだという事実に、やっぱり…という気持ちと、鬼になったという理解しにくい事実が混ざり複雑な気持ちになっていると、目の前の男が)
…さて、とりあえず君はこのままじゃ生きてけないだろうから…閻魔大王のところに案内してあげるよ
(……、)
大丈夫だよ、あの人の周りに悪い男とかいないから
事情を説明したらきっと迎え入れてくれるし
(頭を撫でられ、少しだけ落ちつく)
(この男の人は、なんだか邪気がない気がする…大丈夫そう)
…じゃあ行こっか
(手を繋いで着いていくことに)
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