(ひとりぼっちになった途端にさっきまでちっとも感じていなかった冬の風が、ちくちくと鼻の奥をいじめる)
(寒いのに、外にいたってしょうがないのに、皆がいなくなってしまったあの部屋に戻るのはどうにも気がひけて)
(私は住宅街を逸れてまだまだ明るいアーケード街へと足を運んだ)

(…カップルだらけだ)

(活気こそあるものの、一人で歩いているのなんて私くらいで余計に空しくなってきた)

足早に通り抜ける
 
(ちょっとだけ寄り道しようかな)