それだと思う。
ぼくが買ったのには何もついてなくてね、なんか、その…羨ましかったんだ。
ぼくもメッセージみたいな、お手紙みたいなのつけたいなって。
(え、他の子にも全部用意したの!?)
………。
してない。ちゃんだけ。
(ろぼは胸に抱いたリュックに顔を埋めたままこちらを見ようともしない)
(けれど髪の隙間からのぞく耳の色で、どんな表情なのかは手に取るように分かった)
別でメッセージ入りのカード買うのってちょっと違う気がしたから、だったらいっそ自分で書こうかなって思ったの。
ぼくのお父さん、英語いっぱい喋れるひとだから、それとなく聞いてみたりして…
でも用意し終わってからなんか…だんだん恥ずかしくなってきて…!
(渡せなくてごめんなさい、と泣きそうな声で謝られる)
(矢継ぎ早に言葉を並べれば並べるほど赤みは広がり、言い終える頃にはろぼはうなじまで真っ赤になっていた)
(謝らないで、嬉しいよ。トクベツ扱いされてるみたいでさ!)
(私が茶化すように笑うと、ろぼは顔をあげた)
(すっかり泣いてるかと思ったその瞳は潤んではいるものの、強い光を宿している)
トクベツだよ。
勘違いでも気のせいでもない。
そう思ってくれて、いいから。
(…ろ、)
おひる、時間なくなっちゃいそう。
喋りすぎちゃったかな。早くご飯買いに行こう?
(ろぼにしては珍しく乱暴に私の手をひいて歩き出す)
(その後は誰の前でも何事も無かったかのように振舞うものだから、さっきの出来事が夢だったんじゃないかと思えてきた)
(けど私の机の上には確かに水色の小包がある)
(ねえ、ろぼ)
うん?
(…ううん。いいや)
(小包の中に入っていたのはオーソドックスなホワイトチョコレートと、ちいさな猫のぬいぐるみ。それから例のメッセージカード)
(ろぼのクセのある少し丸い筆記。きっとガミやのろたんと同じで、この一文の意味は聞いても答えてくれないのだろう)
ふふ、そのままの意味だよ。
(私が聞きかけたことをなんとなく察したらしく、ろぼは八重歯を見せてはにかんだ)
I think I like you more than you think.
(きみが思うよりずっと、きみがすき)
英語のやつ?