…来年?

(うん。来年もその先も。またこうやってバレンタインとかホワイトデーにさ)

そ、卒業して、しゃ、社会人になって…それからも?

(だめかな)

…ぜんぜん、だめじゃない。
だ、だってそれって、ずっと友達でいてくれるって…こと、だよね?

(私が頷くとのろたんは鼻声で「ありがとう」と言った)

わたし、ダメだね。
ちゃんがちゃんと気持ち伝えてくれてるのに、卑下してばっかりで。
ほ、本当にそう思ってるのか、まるで疑ってるみたい。
わ、わたし、ちょっとずつでも、じ、自信もてるよう頑張るから。ちゃんの、い、いちばんの友達です、っていつか胸張って言えるように。

(きりりと眉をつり上げたその姿はいつもよりちょっぴり頼もしい)
(まっすぐな言葉が照れくさくて「大げさだなぁ」なんてついつい誤魔化してしまう)

(まあお互い大人になる頃には、気兼ねなく本命チョコ渡せる相手ができてるといいよね…)

ああ…うん…わ、私の場合趣味がアレすぎるから…絶望的なほど、ふ、不可能に近いけど…。
それに…。

(それに?)

…ちゃんより好きになれる人、み、見つけられるかな…。

(言ってから随分と恥ずかしい内容だったと気付いたらしく、ボッと火が点いたようにのろたんが赤面する)
(「ちちちちがうの決してそういう趣味があるわけじゃ」とすぐさま弁解しはじめるその姿が可笑しくて)
(ぎゅっと抱きしめて「こちらこそありがとう」と伝えると、のろたんは遠慮がちにそろそろと私の背中に腕をまわした)

…Please don't make me love you more.

(へ?なんて?)

ふふ、英語。
ど、どこで聞いたか忘れちゃったけど、今にぴったりのフレーズだなって。

(どういう意味?)

内緒。無自覚で、こ、こういうことするんだもん、ちゃん。
…たまには意地悪させて。

(そう言って目を細めたその表情がいつもより妙に大人びていたから)
(私は少しドキドキして口を噤んでしまうのだった)





Please don't make me love you more.
(これ以上好きにさせないでよ)

 
来年も交換しようね