だよな。ん。

(さっさと渡せと言わんばかりに手のひらを差し出されたので、慌てて持っていたハート型の箱をのせる)
(ガミはそれをくるくるとあらゆる角度から眺めて顔を顰めた)

うわ…お前ツラに合わずえらく可愛いラッピングだな。キモ。

(き、きも…!?文句言うなら返してよ!)

中身何にしたんだ?のろまのは普通にチョコだった…(ぱかっ)
んだよお前のもチョコかよ。かぶってんじゃねーか、空気読め。

(話聞いて!?)

まあいい、ろぼにもちゃんとやっとけよ。
アイツ昨日からずっとソワソワしてて落ちつかねーんだ。

(さんざん言いたい放題したわりには、丁寧に箱の蓋を戻してパーカーのポケットにチョコレートをしまい込む)
(きっとのろたんからのチョコレートも入っているのだろう、傍目から見ると異様にボコボコと膨れ上がったポケットは妙におかしくてつい笑ってしまう)

何ヘラヘラしてんだコラ。

(えへへ、貰ってくれてありがとね、ガミ)

普段から世話してやってんだからこれくらいの見返りねぇとな。

(甘いの嫌いなのに?)

気持ちの問題だろうが。言わせんな。
ま、来月期待しないで待っとけ。

(ぐしゃぐしゃと私の頭を掻きまわすように撫でて、ガミはスタスタと歩き出す)
(照れ隠しだと分かっているからあえて追いかけずにいると、なぜか途中で立ち止まりこちらを振り向いた)

……ありがとな。

(それだけ言ってすぐ口をヘの字に曲げるものだから、私はまた笑ってしまった)

(教室に戻るとのろたんが真っ青な顔で「私のせいで土下座すれば意中の相手にチョコレートを受け取って貰えるみたいな謎のジンクスが出来上がってる」と室内の隅っこで半べそかいて蹲っていたので、とりあえず抱きしめておいた)
 
あ、あるけど…ガミのぶん…