(おじさんの言葉につられて時計を見ると短針が12に重なろうとしていた)
(お邪魔してからもうこんなに経ってたんだ)

どれ、家の近くまで送ってくぜ。

(ありがとうございます)

(素直に言葉に甘えることにして、私はおじさんの家を出る)
(外は雪こそ降っていないものの、びゅうびゅうと冷たい風が吹きすさぶ)

さっぶ!向かい風がやべえ!

(冷たすぎてもはや痛い!)

上着ちゃんと着てくりゃ良かった!さみぃ!
お前もうちょっとくっつけって!

(寒い寒いと二人で身を寄せながら足早に歩く)
(ムードもクソもないけど、おじさんは楽しそうだった)

(このへんで大丈夫です)

そっか。気ィつけて帰れよ~。
俺以外のおじさんに声かけられても返事しちゃダメだからな!

(はーい)

…今日はありがとな。
おじさん誰かにメシ作って貰うのなんて、ほんと久々だったわ。
すげー楽しかったぜ。

(照れくさそうにぽりぽりと頬を掻きながらお礼を言われた)
(私の気まぐれで今に至るわけだけど、お別れかと思うと惜しいような気持ちになる)
(私はおじさんの袖口をきゅっとひいてみた)

…また遊んでくれますか?
 
「そろそろいい時間だな」