「ほんまにすまんな。うちのアホから連絡あったけど、時間ぎりぎりらしいわ」

「別に時間に間に合うなら構いませんわ」

透華と千里山の監督が話しているがあまり頭に入ってこない。
現高校生最強が来る。それが楽しみだ。
どれほど強いのか、衣を楽しませてくれるのか、衣と打って、何を思うのか。
早く、知りたい。

「…噂をすれば影、やな。

○○!さっさと来んかい!…って、誰やの、そいつ」

現高校生最強の○○。と、その隣に見たことのない男。
……凡庸。なぜいるのかわからない。そんな程度の男だ、と思う。
ただ○○もその男も、ただの学生にしか見えない…

「須賀京太郎。迷子の○○を届けに来ただけだ」

迷子?

「…迷子って、いや、まぁ…置き去りにしたらそうなるか…」

置き去り?

「当然の結果だ。監督ならそれくらい気を遣え」

「…正論やな、今度から気をつけるわ」

…気にするだけ無駄か。

「…そんなことより、衣は打ちたい」

その一言で全員が衣を見る。
気だるげな千里山の監督。
衣の言葉に驚いた様子の透華。
心底どうでも良さそうな須賀。
そして、嬉しそうな○○。

衣回想。