その後すぐに対局が始まった。

相手がどんな打ち方をするのか、まずは見極める必要がある。
いつもと同じように照魔鏡で見極めにかかる。

顔色の悪い男子は…特に変わったところはない。ごく平均的な打ち手。
そしてもう一人は、そう思い対象を変えると…

照魔鏡が砕け散った。

そんなことは初めてで、とても動揺してしまった。

「地和…まずは軽いリードだ」

その動揺に畳み掛けるような和了の宣言。
それも地和という役満。
そして、軽いリードというありえない発言。
こんな相手は初めてだ。

荒川さんを見れば驚愕の色を隠せずにいる。
もう一人は俯いて震えている。
私は…動揺もあるが、それとは別に震えていた。

初めて打つような相手。
きっととても強い相手。
○○の瞳に浮かべるのは、子供が玩具を得たときのような楽しげな色。
そして、油断なくこちらを射抜く眼差し。

あぁ、この震えは恐怖でも動揺のせいでもない。
これはきっと武者震い。
久しく感じていなかった、自分が挑む立場だという感覚に心が震えたんだ。

照との出会い4。