「幼馴染みというやつさ。それより○○と打っての感想は?」
幼馴染みがいるというのは初耳だ。
しかもその相手が○○。
……少し、羨ましい。
「…強かった、それと楽しかった。
……あと、菫と江口さんから感じた雰囲気、あれはきっと○○と同じ…」
「まぁ…そうだな。その雰囲気はどういうものだと思う?」
「………麻雀を、本気で楽しもうとしてる」
そう、勝ち負けよりも楽しむこと。
それを考えていることがわかるような雰囲気だった、と思う。
「ふふ…今の照に足りないもの、だろうな」
物足りなかったのはきっとそれ。
本気で楽しもうという気持ち。
○○と打って、楽しかったのは、自分が挑む立場で、それが久々だったから全力で立ち向かえた。
きっとそうやって全力を出して楽しむことが大事なんだと思う。
「さて…○○について聞きたいこともあるだろうが、先に戻ることにしよう。
先輩方も待っているからな」
そう言って歩き出す菫の後を追いながら、ふと思う。
あぁ、菫と江口さんが見ていたのは○○なんだ。
…きっと私も、同じようになるんだろうな…
そして出来れば○○にも、自分を見て欲しい。
そう思ってしまった。
「待て、照。そっちは何もないぞ」
……ちょっと考え事をしているうちに迷子になりかけていた。
こういう恥ずかしい姿は、○○には見られたくないな。
・
END.