「そろそろ次が始まるな…名残惜しいけどそろそろ行くかー」
次の対局まで時間はあまりないのを確認して江口が立ち上がった。
そうして名残惜しいと言いながらも凛とした姿で歩を進めていく。
江口の向かう方向と自分の向かう方向は反対。
どうやら本当にここでお別れらしい。
江口の言葉を借りるようだが本当に名残惜しい。
出来ればもう少し話をしたいのだが、大会のスケジュールを考えるともうこの大会中には話すことはないだろう。
そうなると次はいつ会えるのか、いつ話せるのか。
在学中にはもう大会がないことを考えると会うことはできないだろう。
いっそのことアドレスでも聞いておくか、いやそれは軽薄な男だと思われるかもしれない。
そんなことを考えている間に江口はどんどん遠ざかっていく。
江口の後ろ姿を見送りながら残念だと思うが立ち上がり自分の対局をする会場へと向かう。
その途中で後ろ髪を引かれる想いで振り返るとちょうど江口もこちらを振り返っていた。
そして手を大きく振りながら、大きな声で言った。
→