「おう!せっかく打てるんや、全力でかかってこいや!」

そういう江口は満面の笑みを浮かべていて、瞳の中の光、全力で戦うという意思の光はより強くなっていた。



その後はお互いに派手な手を目指すばかりで他家に足元を掬われたり、うっかり振り込んだり、最後の最後で和了った江口に負けてしまった。
久々の負けだったが、とても気分が良かった。
ここ数年で一番だったのではないだろうか。

「ふぅ、楽しかったなぁ…」

対局終了後の休憩時間、廊下のソファに並んで座り一息ついている。
江口は終始楽しそうで、今もその余韻を楽しんでいるようだった。

「いやぁ、対局見たり話聞いた限りやとお前麻雀楽しめん人間かと思っとったけど、違ったんやな。最高におもろかったで!」

そんな言葉をかけられて嬉しいと思ってしまった。
どうやら少なからず自分は江口に惹かれているらしい。
とりあえず、派手に決めるという打ち方には惹かれているのは確かだ。
懐かしく、楽しかったその打ち方に。

そして暫く言葉を交わしていると江口が時間を気にし始めた。
次の対局の時間が迫っているようだった。

出会い8