「きっちり決めたるわ…派手に一発な!!」

場の流れは完全に江口に持って行かれた。
動きを見ればわかる、何か手が出来上がる一歩手前であることが。

「ええ引きや…リーチ!今の流れならいけるで!」

あの宣言からリーチをかけるまでの数巡、自分に来る牌は不要牌ばかり。流れは自分にはない。

「細かくチマチマやるよりもな、派手にやるほうがおもろいもんや。自分も、相手も、な」

そんな言葉を聞きながら江口にツモ順がまわる。
河と理牌を見て予想できる手は国士無双。
確かに派手で和了ることができれば楽しい一発だ。

また、和了られてしまうのか、阻止できるのか。
そう考えたとき、自分の中の何かに火がついたような気がした。
それは子供の頃、友人と打っていて自分の中にあったはずのもの。
今は完全に火が消え、埋没してしまっていたもの。

それに再び火がついた。
安手を選ばず、高めの役を狙う。そんな子供の頃の自分の姿が重なる江口によって。

出会い6