「なぁ、ちょっと気になるんやけど聞いてもええか?」

牌を切りながらそう口にする江口。
どうやら自分に向かって言っているらしい。
訝しみながら頷きだけを返す。

「お前、おもろいか?そんな細かく刻むようなつまらん打ち方して」

つまらないのは自分でもわかっている。
今更他人に言われてもなんとも思わない。

「まぁ、つまらんやろうな。見とっても楽しそうやないし」

だからなんだというのか。
別に相手がどういう打ち方をしようと関係ないはずだ。
山から牌を取り、切る。まだ手は作れない。
他の相手もまだ作れていないようだ。

「せやから…」

言葉を切って牌を取る江口。
瞳の中の光がより一層強くなった気がする。

「俺がおもろい打ち方、教えたるわ」

力強い打牌。場の流れが変わったことを感じた。
このまま打たせてはいけない。そう思った。
焦りを感じながら牌を取るが不要牌。

出会い5