…いつまでジト目で見てくるつもりだ。
勝負とは多くの要素を含むものだ。麻雀の勝敗だけで決まるわけではない。
だから俺の行動は間違っていない。それに…

「…あのまま続けても構わなかったが、時間はどうなんだ」

言って時計を見れば○○の言っていた時間が近づいている。

「遅れれば監督にどつかれる。と聞いていたから勝負を終わらせたのだが…余計な気遣いだったか?」

……大慌てで荷物を持って出て行くのは良いが、料金はどうする。それと迷子だろ、お前。

「はぁ…釣りはいらん、騒がせた」

店員に適当に数枚渡して後を追う。
後ろでなにやら言っているが関係ない。
…全部一万円札だ、足りないことはないはず。



「待て、○○。
龍門渕までの道もわからないだろ…タクシーを手配してある、それに乗れ」

普段の様子がどことなく咲に似ている気がして放っておけない。
………驚いたリアクションも咲に似ている。

「……龍門渕までタクシーで行けるが、どうする。一人で行けるか?」

人によっては馬鹿にされていると思うだろうが○○は違うらしい。

「……天江と須賀…いける…!」

ただ何か企んでいるな。

「頼む、須賀」

「わかった…だが、京太郎で良い」

そう言うと驚いたような表情の後に何故か嬉しそうに笑った。

「なら、頼むぞ、京太郎!」

……嫌な気分ではないな。
何か企みに巻き込まれそうだが、一度くらいは乗ってやっても良いかもしれない。
そんな風に思えるから、不思議だ。

ルル回想7。