「…………は?」

呆然とこちらを見る○○。
当然か。散々挑発して敵対した相手がいきなり振り込めばこうなるのも仕方ない。

「どうした、通るのか?」

「いや…ロン、大四喜…」

別に負けてどうにかなるわけではない。
ならば完全に見切られる前に引くのが定石…ではないが、最善策だな。

「悪いが、これ以上付き合う気はない。暴かれたくないのでな」

そう言えば○○の表情が引き攣ったものへと変わった。

「お、お前…」

「ふん…俺は勝ち負けにはそこまで拘らない性質だ」

麻雀の対局上は負けだとしても、駆け引きでは負ける気はない。
○○の打ち筋、癖、思考、能力と思しきもの、全て読めた。
だが○○は俺の能力を見切っていない。
ここで引けば、駆け引きの勝負では俺の勝ちだ。

「はぁ…いや、いい。二人もそろそろ限界だろうから終わりだ…」

うなだれながらそう告げた○○を見て、僅かに笑んでしまった。
…ジト目で見てくるが、対局中と印象が変わりすぎじゃないか?

さっきまでの獰猛な笑みはどこに消えた。
完全に普通の高校生だぞ、今のお前は…

ルル回想6。