絶対守護領域が発動しているにも関わらず、配牌が良い。
ツモ牌も有効牌が多い。
常人なら好機と攻めに転ずるな。
その証拠に両隣の手は一気通貫、二盃口、ドラ2と混一色、三暗刻、赤1。
「リーチだ!」
そしてリーチの宣言。
馬鹿が。通るわけがない。
「御無礼、ロン」
「……え…?」
青褪めるのを見て再度使えないと確認できた。
こういった場面では強い相手を潰すために全員が動くが、地を這う虫二匹で空を飛ぶ相手は落とせない。
…それはただの地べたすりの俺も同じことか。
「少し、見えてきた」
ぞくりと背を悪寒が走る。
絶対守護領域を見切られ始めている。
「…見えたところでどうすることも出来ないことはある」
「見えればどうとでも出来る。どうとでも、する」
…どうやら、完全に敵として見られているようだな。
獰猛な笑みと獲物を狩る目。戦場でもそうそう見ないぞ、これは…
次局の配牌は…気味が悪いな。
国士無双聴牌か。
いらないな。発動したままで良い。
「………これも反応なし、か。ただ、後少し」
しかし、後一歩まで来ているな…ここが引き際か。
能力を、切る。
そしてツモ切り。
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