アリス「店を追い出されたトニーは怒っていました
『ちくしょうちくしょうちくしょう!
俺が何したっていうんだ!
ただ飯を食いに来ただけだというのに!』
トニーは何故摘み出されたか分かりません
もうお腹もペコペコで暴れて怒ってヘトヘトです
トニーは我慢出来ずに涙を流しながら道行く人達に助けを求めました
上から目線ではなく、初めて下手に出て初めて人に助けを求めたのです
しかし所詮道行く人達にとってトニーは他人です
どうなろうとしったことではありません
初めてトニーは気付きました
自分は生きていたのではなく、生かされていたことに
そして今までずっとみんなに酷いことをしても我慢をさせて許してもらっていた事を」


秦「見苦しいなトニー
だけど可哀想だなトニー」


こいし「トニーだしね」


霊夢「あんたらにとってトニーは何なのよ…」


アリス「もう歩く気力もないトニー
道で倒れているトニーを無視して踏んづけていく道行く人達
もうトニーはボロボロです
トニーは思いました
『今思えば酷いことをしてきた
もっと早く気付いていればこんな事にはならなかったのに…』
自責の念に苛まれてももう後の祭り、トニーにはもう立つ気力すらありません
トニーは絶望しました」


こいし「もうこれ死ぬね!」


秦「ああ、惜しい奴を亡くしたな」


霊夢「ずっと言おうと思ってたけど、新年早々死ぬとか何とか言わないでよ」


アリス「…そんな時です
トニーの耳に聞き慣れた声が近付いてきます」


秦「敵か!?」


こいし「ぶっ飛ばさなきゃ!」


霊夢(もう突っ込むのも面倒ね…)


アリス「『おーい!トニー!』
不意に起き上がり見てみると町のみんなが来ているではありませんか
『どうしてこんな所までみんなが…』
トニーは嬉しい反面恥ずかしいやら情けなさからみんなの顔を見て話すことができません
トニーは聞きます
『何故こんな所に来たんだ?』
『すまないトニー、親も兄弟もいないお前を甘やかし育てたのは私達みんなの責任だ
トニーは悪くない』
『自分は教えられなかったとはいえ、今まで悪いことをしてきた
だから謝るのはこっちだ
みんな、ごめんなさい』
町で悪さをしていた頃と今のトニーの変わり様にみんなビックリしながらも彼に微笑み、そして許すという言葉の代わりに言いました
『町に帰ろう
みんなで一緒に』
…それからというとトニーは生まれ変わったかのように勉学に励み、仕事をし、町の子供の面倒まで見るようになりました
町は以前のようにトニーに対して恐れや怒りを抱いている者はおらず、逆に彼を慕う者でいっぱいです
トニーはとても青空の様な健やかな気分で毎日楽しそうに暮らしています
嫌われ者トニーは旅に出た事により己を振り返りそして反省し、努力して人気者トニーになりましたとさ
めでたしめでたし」


イベント正月2016年:14