○○っちー!
((下校途中、校門から出ると黄瀬くんが飛びついてきた。))
(え、なんでこっちにいるの?)
なんでって、ホワイトデーっスよ!
直接渡したかったっス。
(ああ、そういえば……。)
じゃあ目瞑って後ろ向いてほしいっス。
((その言葉の意図が分からなかったけど、言われたことをそのまま実行した。))
((金属同士がぶつかるような小さな音がして、首周りをいじられている感覚。))
んー…………よし、できた!もういいっスよ!
((目を開けて胸元に視線を落とせば、可愛らしい花をモチーフにしたペンダントがあった。))
(こ、こんな高そうなものもらえないよ!)
俺があげたいと思ったらいいんスよ。
……いらないなら捨ててもいいし。
((そんな悲しそうな顔されると余計断りにくい。))
(捨てないよ。黄瀬くんがくれたものだから。ありがとう。)
じゃ俺はそろそろ帰るっス。
また今度!
((遠くなる黄瀬くんを見送っていると、急に彼は足を止めた。))
あっ、言い忘れてたっスけど。
俺が本気でお返し考えたの、○○っちだけっスからねー!!
((それだけ言うと彼は走って行ってしまった。))
((……私だけって。))
W26黄