初めてお前に会った時から不思議に思っていたんだ。

軍人だったということは極限状態での任務とか、その…命の奪い合いとかも経験してきていると思う。
目を覆いたくなるような光景もたくさん見てきたんだろう。

なのにおまえの目は、全然濁っていなかった。

厳密にいうと、ちょっと違うか
前に、おまえの目が綺麗だと言ったよな?
あれは穢れていないという意味で言ったんだけどな

あらためて言い直すと

おまえの目には、色がない

生気も、殺気も、何も宿っていない
真っ白で、真っ新で、でも真っ黒で
見ることをやめてしまったのか、何かが原因で見れなくなってしまったのか。
とにかく、おまえの目には何も映っていないと

失礼だけど、勝手ながらそう思ったんだよ。
殺気もなにも宿していない目をしている奴を危険だとは思わないだろう?
ラビットハウスで働き始めても、どこか心ここにあらずというか浮世離れしているというか…

まるで、ガラス球をはめ込んだような目をしている。
作られた人形のように、自我を感じない。



だからおまえのことが気になったんだ。心配に思うんだ。


…そう思いながら、おまえと過ごしていくうちに
いつの間にか当初のころの気持ちは、形を変えていたよ。
色のない目