すいません、お休みだったのに無理矢理連れ出してしまって。
どうしてもお話しておきたいことがあったんですよ。
とりあえず歩きましょう、図書館の方にでも。



日差しが強くなってきましたね
このまま夏になっちゃいそうです。
私暑いのは苦手なんですよね。
お兄さんはどうです?




お兄さん




ラビットハウス、辞める気ですよね。


昨日夜遅くにお父さんと話してるの聞こえちゃいました。
「出ていく」だとか「他所に移る」って話してましたよね。
盗み聞きするつもりはなかったんですけど、お水を飲みに一階に降りた時に偶然。


どうして、私に相談してくれなかったんです?
たしかにコーヒー淹れるの少しは上手くなったと思いますけど、出ていくにはまだ早いんじゃないですか?

もっと、いろいろ教えなきゃいけないことたくさんあるのに。





…いなくなっちゃ、やです




お兄さん

手、つないでいいですか?







お兄さんの手は大きいですね。
傷だらけでボロボロだけど、とってもあったかいですよ
とっても…。




お兄さんがいなくなると…、情けない話ですけど

私は、泣くと思います。割とガチ泣きです。



恥ずかしいからあんまり認めたくないんですけどね
それだけあなたの存在は私の中で大きくなってしまっているんです。
私だけじゃない、リゼさんは言わずもがなココアさんだってきっとそうです。




…せっかく、お兄ちゃんができたと思ってたのに。


辞めないでっていうと、迷惑になっちゃいますよね。
でも、それでもやっぱり無理です。


いなくなったら…、やです…。















…え?


辞めない?

だって他所に行くって…。
住んでるアパートの話…?


は?いやでも…。




……。


お兄さん


今私が言ったこと、全部忘れて下さい
ノーカンです嘘です冗談です


うるさいです。はよ忘れろ。

赤くなんてなってないです、日差しのせいです。
今日は暑いですからね。



…泣いてなんてないです。
目にゴミが入っただけです。


…ぐすっ



…紛らわしいこと言ってんじゃないですよ、お兄ちゃんのアホ
私のお兄さん