【保登家:風呂】
「づぁああ~…。疲れたぁ!」
「何気にあちこち歩き回り過ぎたかな…。足パンパンだよ」
「いまさらだけどあのお店で見たマグカップ可愛かったなぁ~、買っておけばよかった」
「いいって言ってるのにあの人プレゼントする―って聞かなかったし」
「おかげでなんか買いにくかったっての、まったく」
「お昼食べすぎちゃったからお風呂上がりのアイスはやめておかないとね」
「でも意外だったな。あんなおしゃれなお店知ってたなんて」
「内装もかわいかったし、料理も美味しそうなのばっかりで目移りしちゃったな」
「次行くときは絶対あのキッシュ頼もう!人が食べてるの見たらおいしそうに見えちゃうわ。季節によって具が変わるのもいいわよね~♪」
「最期に寄った古書店もいい感じだったな。料理本も多く扱ってたし」
「面白かったからおすすめって言われてつい買っちゃったから、上がってから読もうっと」
「もしつまんなかったら文句言ってやるんだから!」
「ふふ」
「楽しかったなぁ」
「……」
「…うん?」
「んん?」
「ちょっと待って。今私なんて言った」
「楽しかった?今日街を回ったのが?あの人と一緒に?」
「いや、いやいやいや」
「ないない、ちがうちがう」
「偶然あの街に面白いお店が多かっただけ、偶然美味しいお店が見つかっただけよ」
「そうよそうよ、そうに違いないわ」
「うん」
「……」
「やだ」
「ちょっとなんで」
「顔あつい」
「……」
「…のぼせた、かな」
「気付かなかった、こんなに長い時間湯船つかってたんだ」
「…考えてたから?」
「ない、絶対ないから」
「そんなことあるわけない、よね?」
お見合い2