(私が、彼を心から好きと言えて、きっと彼も純粋に私を想ってくれていた時、将来の約束をした)
(あの幸せな日々が、夢じゃなかったといえる唯一の品だ)
(このプラスチックの簡単に壊れそうな指輪は、あの時の私たちだったんだろう)
(指輪だけが手元にある。私はこの指輪とともにあの時に取り残されたままなんだ)
「…今はまだ、皆で笑えないかもしれません、巻き戻せないかもしれません。それでも、まだあきらめないでください。まだ、終わってませんから」
(…ふと、黒子君の言葉が頭をよぎる)
(そう、だ…まだ、終わってない。終わらせてはいけない…!)
(私は、むっくん、紫原敦にもう一度告白しよう)
(もう一度、やり直そう)
(決意をした私は、指輪を握りしめ、
彼の元へと急いだ)